60代のタンパク質不足

2017年02月10日

タンパク質という名前は知っているけれど、私達の体内でどのような役割を果たしているかご存知でしょうか?タンパク質とは身体をつくっているもとになっている栄養素になります。そしてタンパク質は、脂質と炭水化物とともに、「3大栄養素」のひとつとなります。その他にはタンパク質を英語で言うと皆さんがよく耳にする「プロテイン」になるのです。

 

プロテインはタンパク質

「プロテイン」って筋肉ムキムキになる栄養ドリンクなんだ。というイメージを持っている人もいるようですが、運動をしている人たちがプロテインを飲む理由はトレーニングで失われたタンパク質補給が目的です。また、筋肉をつけるためにはそれなりに負荷をかけたトレーニングが必要です。

そして、タンパク質は運動で失われるだけでなく、人間が日々、呼吸したり体を動かしたり、生きていくうえでも使われる非常に重要な栄養素なんです。
細胞一つ一つを作り上げる働きをするので、タンパク質がないと、新しく生み出せないことになります。このように、タンパク質は私たちの身体を構成している重要な栄養素の一つです。

そしてタンパク質はアミノ酸と呼ばれる分子がつなぎ合わさってできています。列車にたとえると、アミノ酸の貨車と貨車がつながって、タンパク質になるというわけです。
日頃、私達は食事から栄養を摂るのですが体内で生成されない種類のアミノ酸(必須アミノ酸といいます)もあり、体外からの摂取が不可欠です。
その上、アミノ酸は毎日体の中で代謝されているため、アミノ酸をバランスよく多く含む良質なタンパク質を毎日取らなくてはなりません。 忙しさや食欲低下、さまざまな要因で食生活がおろそかになると、私たちの体に必要不可欠なタンパク質も不足してしまいます。

 

 

 

タンパク質を含む食品
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良質なたんぱく質は、「必須アミノ酸」を全部含んでいるタンパク質のことです。 鶏肉、たまご、肉、乳製品が良質なタンパク質です。しかし、肉類はプリン体の原料となるため、食べすぎはやはり注意したいものです。タンパク質を増やす目的で肉を摂取するのであれば、肉類だけはなく食事全体のバランスを考える必要があります。その他には、大豆も豊富なタンパク質を含む食材ですのでオススメです。やさいや穀物にも微量ですがタンパク質は含まれます。残念ながら野菜に含まれるタンパク質というのはアミノ酸のいずれかが不足しているので野菜から良質なタンパク質を摂ることはあまり期待できません。

粗食=健康という思い込みもあり、食べ過ぎを防ぐという意味では間違いではないのですが野菜中心の食生活や、食が細くなって食事の全体量が減ってしまうと、噛む力も衰えてしまいます。

特に粗食になりがちなシニア世代にとってタンパク質の摂取はとても重要です。

 

それでは、具体的にたんぱく質が不足するとどのような問題が起きるのでしょうか。

 

 

 

疲れやすくなった

torisugi3食事量の低下により、体内に入ってくるエネルギーが減少すると体は危険を察知して、筋肉を分解して生きていくために必要なエネルギーを作り出します。
つまり、食事で摂取する中で栄養が足りていないと、人は自分の身を削ってでも生きていこうとするものなのです。それが自身の筋肉だと、少なくなっていく一方ですよね。
実は臓器も筋肉でできています。体内のタンパク質を不足させてしまうと、結果として基礎代謝量が落ちて太りやすく痩せにくい体質を作りやすくなってしまいます。
また、脂肪が消費されずに内臓回りに溜まる症状をも引き起こしてしまう可能性もあります。
そして運動をした後は特に、筋肉は傷ついている状態です。それを修復するためにはタンパク質が分解してつくられるアミノ酸が必要となってきます。もし日常的に運動をされているのであれば、通常よりタンパク質を摂ることを心がけないと、筋肉の働きが弱くなり内臓も衰えてきます。
どちらの場合もタンパク質不足から疲れを感じるようになってしまうのです。

 

植物性タンパク質の代表的なものが大豆です。
「イソフラボンの摂取目安量は1日75mgという数値で、大豆食品がお好きな方が考えると、簡単に超えてしまいそうに思います。しかし大豆に関してはそれほど心配することはありません。
毎日毎日食べ続けての“平均値”のことなのでたまたま今日は大豆食品をたくさん食べたとしても、明日もあさっても、毎日毎日となると、どうでしょうか…? 「1日75mg」とは、長期間食べ続けての平均値のことで、安全であるとして示された数値なのです。」(フジッコサイトイソフラボンは摂り過ぎているのでは?―日本人の摂取実態―より引用)よほどのことがない限り、食べすぎということにはなりませんので、あまり敏感になりすぎないで下さいね。

 

肌や髪のトラブル

atorisugi4ふさふさとしたハリのある髪。つやっと美しい肌、爪。男女問わず、いつまでも輝きを忘れずに丈夫に保っていたいものです。
特に女性は、ハリやツヤ、美しさを維持するコラーゲンを失いたくありませんよね。実は、コラーゲンもタンパク質から構成されているのです。一生懸命コラーゲンを補っていても、体内のタンパク質が不足していると、コラーゲンそのものが減少してしまう一方なのです。
ハリのある肌をつくるのコラーゲンやエラスチンもタンパク質が不足してしまうと生成されにくくなるので、それがたるみやしわにつながってしまうんですね。タンパク質不足が真っ先に現れるのが肌、髪なのです。

タンパク質不足は枝毛や切れ毛の原因にもつながります。丈夫な髪の毛を作るどころか、薄毛を招く可能性もあるので、あれ?と身体の変化を感じた方はタンパク質を見直してみてくださいね。

 

 

 

物忘れ・思考力の低下

atorisugi4あまり知られていませんが、たんぱく質不足は精神的な不安定、うつなどをも引き起こすこともあります。やる気を出してくれるドーパミンや気持ちをリラックスさせるセロトニンなどの神経伝達物質は、アミノ酸からできています。先ほどのとおり、たくさんのアミノ酸がくっついたものがタンパク質です。そのため、タンパク質が全体的に不足すると、神経伝達物質が脳内で作られず働きも鈍くなってしまいます。

なんだか最近物忘れがひどくなった、知らず知らずのうちにぼーっとしていると感じたり、指摘されたりするならタンパク質を十分にとれているか確認してみてくださいね。
精神的な不調はさまざまな要因によって起こりますが、体内のタンパク質不足が原因となって不調を招いていることも考えられます。一度、栄養がきちんと摂れているかを見てみるのも良いかもしれませんね。


一般の成人は1日に体重1kgあたり1gのたんぱく質が必要と言われています。
つまり、体重50kgなら、1日50g、体重60kgなら1日60g、ということになります。

肉や魚などは良質なたんぱく質なのでたくさん食べるといいと思われがちですが、シニア世代が気をつけたいのが「脂肪」の摂りすぎです。太って内臓や膝、腰に負担が掛かってしまうのも大変です。

大豆をたくさん摂ることももちろんオススメですが、1日60gのたんぱく質を大豆食品で摂ろうとおもえば、約豆腐2丁半。毎日となるとなかなか大変です。

そこで活用したいのがプロテインなどのサプリメントです。サプリとは不足分を補う為のもの。食品とちがい脂肪など余計な成分を摂ることなく、少量で多くのたんぱく質を摂ることができるので、シニア世代の方にこそ活用していただきたいです。